
自筆証書遺言って、どんなものなんですか?自分で書かなくてはいけないことは、わかるけど。



自筆証書遺言とは、遺言者ご本人が遺言の全文、日付、氏名を自書し、押印することで成立する遺言です(民法968条1項)。自書という点が重要で、パソコンで印字したものや代筆では効力を生じません。



では、すべて手書きしなければならないのか、大変そうだな。財産の詳細などもすべて自書しなければならないということ?



財産目録を添付する場合については、目録部分はパソコン等で作成したものや登記事項証明書のコピー等でも問題ありませんが、その場合各ページに遺言者の署名押印が必要です。



なるほど



自筆証書遺言のよい点は、いつでもどこでも作成できるところですね。他の遺言方式と比較して、費用も抑えることができまます。内容や存在自体を秘密にすることもできます。



費用も抑えられて、手軽でよいな。



そうですね。その反面、方式不備によって無効となるリスクは他の遺言方式と比べ、高くなります。紛失・偽造・変造・隠匿・破棄などの危険も考慮しなくてはならないです。さらに保管場所や方法によっては、発見されない可能性も出てきます。



せっかく作成したのに、発見されなかったり、破棄されてしまったのでは、意味がないな。。何かいい方法はないのか。



令和2年7月10日施行の「法務局における遺言書の保管等に関する法律」により、法務局で遺言書を保管してもらうことも可能になりました。こちらの制度も活用するとよいでしょう。家庭裁判所での検認も不要となります。



検認?



自筆証書遺言については、遺言者の死亡後、家庭裁判所で検認を受ける必要があります(民法1004条1項)。検認については遺言者の方が亡くなった後のお話です。相続人の方に手続きを行っていただく必要が出てきます。



なるほど、では法務局で保管してもらえば、ひとまず安心だな。



気をつけなければならないのは、遺言の有効性を判断するものではありませんので、内容やその書き方によっては、民法上の要件を満たしておらず無効となるリスクが無くなるわけではありません。これは家庭裁判所での検認についても同じことが言えます。



やはり書く内容については、専門家へ相談した方が確実だな。
- 場所や時間を選ばず、いつでも手軽に作成できる
- 作成費用がかからない
- 遺言書の内容や存在を秘密にすることができる
- 方式の不備による無効のリスクが高い
- 内容が不明確な場合、紛争の原因となることがある
- 遺言書の保管が自己責任となるため、発見されない可能性がある
- 紛失・偽造・変造・隠匿・破棄のリスクがある